鬼、金を食らいに旅に出る

金の為なら手段を選ばず、マイルの為なら手間を惜しまず、旅の為なら鬼と化す

レンタサイクルの限界に挑戦。東京から妻籠宿への5日間

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こんにちは。鬼です。

今年のGWは海外に行くことが出来ずに家でゴロゴロしようかと考えていました。

しかし、世の中のお休み気分に感化され何かをやらずにはいられなくなったため、お金をかけずに旅行しようと思い立ちました。

目的地は、つい先日クールジャパンというTVで見た長野県の「妻籠宿」に即決です。一度は行ってみたかったということと、TVを見て一刻も早く見てみたいと思ったためです。

Suicle(スイクル)というレンタサイクル

結局はレンタサイクルにしたのですが、電車、レンタカー、レンタルスクーター、ヒッチハイク、歩きなどのパターンを考えましたが、どれもこれも1~2万円程するし、エンジン付きの乗り物だと早く着きすぎてしまうということで、レンタサイクルに白羽の矢が立ったのでした。

以前、レンタサイクルについてちょっと調べてことがあり、「Suicle(スイクル)」という激安のサービスが小金井市を中心に存在していることが分かっていたため、さっそくサイトから会員登録を済ませて月額会員になりました。

これが凄いのは、2,500円/月 で乗り放題という点です。しかも、連続5日間(120時間)借りられるためちょっとした遠出も可能なのです。

念のため、WEBサイトをくまなく見てみましたが、距離についての上限は無いようです。しめしめです。

まあ、普通の人はこのレンタサイクルで遠出をしようとは思わないですしね。

一日目

出発は、武蔵小金井駅のレンタサイクル置き場です。

この時点では、何があっても5日で帰ってこれる確信があったため、クルージングのようにゆったりと10時頃にスタートしました。

思い立ったのが起きてからなので、コースとかは全く把握できていません。

距離だけ見ると甲府までは行けそうかなと言う程度の甘い気持ちでスタートしたため、青梅に着いたのが昼頃になっていました。

朝ごはんも食べてなかったため、コンビニで高カロリーなパンを選んで、合計1,000kcalほど摂取してから山登り開始です。

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まだまだ体力が有り余っているため、景色を楽しむ余裕もありました。

綺麗な花に、透き通った川の水を眺めながら旅っていいなと思いながら、実は全く思い通りに進まない自転車を漕ぎ続けました。

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ロードレーサーに乗って、さっそうと走る若者からどんどん抜かされながらも進んでくると、遂に奥多摩湖に到着です。いい天気なので自転車乗りもかなりの数が集結していました。

しかし、彼らのほとんどはここで東京に引き返してしまい、奥多摩湖から先はちょっと寂しい感じになってしまっていました。

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途中ですぐに停まって写真を撮れるという点は、はやり自転車の醍醐味ですね。

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丹波山村まで来ました。ここまではかなり順調に自転車を進めてきました。

しかし、この先が地獄の入り口だったことはこの時点では知る由もなかったのです。

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突然のハンガーノック

所詮はレンタサイクルということに気が付きました。

いくら体力と根性に自信があっても、この自転車ではあがく事さえできませんでした。

坂が急になると、もはや鉄の塊と化してしまい全くもって進まないのです。

まあ、この自転車を選んだ自分が悪いので、自業自得なのですが食事の絶対量も足らず、水も足りなくなるという絶対絶命の中で重い車体を押して上がるという拷問のようなことをしてました。

途中の売店でペットボトルの水を3本購入しましたが、山の中で夜を迎えるのが一番まずいと思いながら懸命に歩き続けました。

手がしびれ足は歩いているだけなのにつってしまうという状態に加え、過呼吸のような症状まで表れました。

これは完全にハンガーノックだと分かりました。

いつ以来ぶりだろうという感じでしたが、闇が近づく恐怖と全く進まない焦りとでまさに地獄でした。

たまにすれ違う人がいたから良かったものの、あと1時間遅く出発していたら闇に飲まれていたことでしょう。

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それでもなんとか、日が落ちる前に柳沢峠まで来れました。

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ふらふらでしたが、自転車を押し出してから一切写真を撮ってなかったため、記録として写真に収めました。

本当につらい峠越えとなりましたが、後で調べてみるとそこまで難しい峠ではないとのことだったため、いつかロードレーサーで再挑戦したいと思います。

今回は完敗です。

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遠くに見える富士山を見ながら、缶コーヒーで束の間の休憩です。

だいぶ気持ちも持ち直してきたため、防寒具を着込んでダウンヒルに出発です。

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もはや上りは皆無です。

ただひたすらに山を下るだけなので楽ですが、逆に体が冷え切ってしまいました。

取り敢えず、人里まで下ったところでスマホで本日の宿探しです。

甲府の「リブマックス」というホテルを確保できたため、あとはひたすら宿目指して漕ぐだけです。

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結局、途中のイオンで今晩のごはんと、明日以降にカロリー源となるチョコレートや飴、2Lのスポーツドリンクを買い込んでホテルに到着したのは21時を回ってしまっていました。

優雅にサイクリングを楽しむ予定でしたが、なかなかに厳しい一日目となってしまいました。

ビールは死ぬほど美味しかったのがせめてもの救いです。

二日目

二日目はできるだけ妻籠宿に近づいておきたいと思ったため、早朝7時に出発しました。直線的には予定地の飯田市までは近いのですが、間に南アルプスが鎮座しているため諏訪湖まで北上して迂回するしかありません。f:id:rarmu23:20170508190949j:plain

南アルプスは学生時代に何度か上ったことがあるため、ちょっと懐かしい感じです。

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サントリーの白州工場も見学したかったのですが、時間に余裕がなかったのと雲行きが怪しくなってきたため先を急ぐことに決めました。

案の定、小雨に振られましたがすぐに晴れてくれました。

しかし、地図上では平坦に見えますがかなりダラダラと登りが続いているのが地味に体力を削っていきます。

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茅野市に入った時も青空が見えるほど安定したいたのですが、数分後に雨がまた降り出したのです。

諏訪市に入ってもやむことがなく降り続け、やがて土砂降りになってしまいました。

諏訪湖を回って反対側の道に回る時がピークで、諏訪湖から吹き付ける風と雨で、服も靴もグショグショです。

まさに雨地獄です。

二日続けて地獄でした。

ガクガク震えながら諏訪湖を逃げるように離れると、やっと天気も回復してきたためコンビニで食料調達です。

流石にびしょ濡れではコンビニにすら入るのが申し訳なかったので本当に雨がやんで助かりましたよ。

この時点で、市田駅の近くに宿も確保です。今日は寒さで心がやられたので早めに風呂に入りたい欲求がどんな欲求よりも勝ってしまいました。

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諏訪湖を過ぎると、基本的には下りのためここからは本領発揮です。

数々の市町村を通り抜けて市田に到着です。

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あの雨は幻だったのかと思う程、穏やかに夕暮れの景色が広がっていました。

懐かしい感じがしますね。

旅館 朝恵に宿泊

本日の宿は、旅館 朝恵というところです。

おばあさんと女将さんが切り盛りしている宿で、かなり古めかしい感じの外見で部屋も昔の和室という味のある感じでした。

コタツが準備されており、冷えた身体にはありがたいサービスです。

30分程近くのスーパーに酒と、つまみを買い出しに行っている間に晩御飯の準備をしていただきました。

から揚げとみそ汁にご飯という品揃えですが、ごはんは良いお米を一合も準備してくれており、大満足の食事でした。

朝も、目玉焼きにおかず数品とごはん一合なので栄養満点です。

これで3,800円は宿が古いという点を考慮しても格安だと思います。

三日目

この日も7時には旅館をでることにしました。

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旅館を出て間もなくすれ違った飯田線の電車を写真に収めて、いざ妻籠宿へ出発です。

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一時間も走らない内に飯田市を通過し、昨日までの体の重さが嘘のように今日は万全の体調です。はやり食事なのかなと感じながら妻籠宿の間に立ちふさがる峠越えに向けて英気を貯めておきました。

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山登りの前のひと時の休息です。

このあたりは梅の花がずっと続いていたため、本当に心が癒される道だと思いながら坂道を上り始めました。

初日の教訓から無理はしないことにしていたため、自転車の限界と思ったらすかさず自転車を降りて歩くようにしました。明らかに歩きの方が心拍数が上がらないためです。

というように、体に気を付けて登っているとトンネルが出てきました。

あれ!意外とあっさりと峠越えが出来てしまったというのが本音です。

妻籠宿に到着

そこからは下りまくって、10時には妻籠宿に到着することができました。

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駐車場の看板ですが、遂にレンタサイクルで妻籠宿まで来てしまったのです。

ちょっと早いですが達成感が半端なかったです。

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ここからは、一般の観光客に混ざって妻籠宿を満喫です。

町全体が景観を保存する取り組みを実施しているため、現在もこのような建物が残っているのですが、予想以上に完璧な状態に驚きました。

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他の観光地と同様に、ある一角だけが昔の感じが残っていて、一歩外れれば現代の民家が広がっているんだろうなと勝手に思い込んでいましたが、妻籠宿は違いまいた。

本当に江戸時代の宿場町に迷い込んでしまったかのようにさえ感じる景色が広がっているのです。

これは凄いの一言です。

そりゃあ、外国の人にも人気が出るわけですよ。

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そのまま、時代劇のセットとしても使えそうな感じですね。

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iPhone SEで頑張って奥行き感を出してみました。

荷物になるからとEOS 6Dを持ってこなかったことを本気で後悔しました。

一眼レフでこの景色を取りたかったですが、それはまた次の機会に撮っておきたいと思います。

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この階段もいい感じだったため、おやきと購入してこの階段に座って食べてみました。

本当に癒されますね。

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十分に妻籠宿を満喫して、あとは帰宅するだけです。

レンタサイクル返却に間に合わない?

もうアルプス周辺に戻る気力がなかったため、帰りは太平洋側を通って帰ることにしました。従って、山岳地帯を避ける形で妻籠宿から名古屋方面に向かいました。

中津川、土岐、多治見と順調に進んだところで、あれ?レンタサイクルの期限は5日だから名古屋周辺に宿泊したら、四日目にどう考えても静岡が限界で、箱根の山越えを考慮すると五日目に武蔵野市に戻れないのではないかと気が付きました。

ここでひとつの決心をしたのです。

そうです、夜通し走るということです。

岡崎辺りで国道1号線にでれば、比較的広い歩道があるはずなので夜通しでも安全に走れはずと思ったのです。

実は、学生時代にも京都から東京まで自転車で夜通し走ったことがあったため、行ける確信がありました。

 

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そうと決まったら、夜間装備の買い出しです。

道沿いのホームセンターを見つけて、自転車に着ける赤い点滅灯とヘッドライトを購入しました。風呂にだけは入りたいという事で、スーパー銭湯を探してみたら豊橋に極楽湯があることが分かったため、とりあえずは豊橋目指して突っ走りました。

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途中の豊田ではトヨタの社屋を横目に国道1号を目指します。

どうでもいいですが、豊田市内でのトヨタ店舗は、愛知トヨタとなるんですね。

豊田トヨタでは言いにくいからでしょうか。

ちょっとした発見でした。

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すっかり日が暮れてから、やっと1号線に合流です。

豊橋までは20km以上あるのですが、夜通し走ると決めてからは不思議と気分的に安定していたため、途中のかつやでかつ丼を補給して、難なく極楽湯に到着です。

23時を回っていましたが、2時の閉店までは湯船にはいったり、サウナに入ったりとあっと言う間に過ぎてしまいました。かなり英気を養えた気がします。

しかし、クーポンを利用したとは言え、600円でこれだけの種類のお風呂とサウナは東京では考えられない程お得です。

家の近くに極楽湯が出来て欲しいものです。

四日目

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いきなり朝になってますが、一睡もしないままひたすらに自転車を進ませ続けた結果、朝には静岡県の浜松市を通過していました。

しかし、記憶とかなり異なる状態が続いていました。

それは国道1号に自転車が乗り入れることができない区間がかなり増えているのではないかという点です。

静岡全域で国道1号がバイパス化してしまっており、東に向かう道を探す羽目になってしまったのです。昔からこんな感じだったかなと不満げに感じながら進みましたが、更なる不満が爆発するのです。

道が悪いという点と、信号が多すぎるという点です。

静岡に恨みはないですし、なにせ広いため全てに手が回らないのは分かりますが、明らかに静岡の道は他よりも走りにくいと感じるほどです。

少なくとも、自転車乗りの事を考えていない道づくりをしてしまっている感じがしますね。どうにかしていただきたいものです。

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でも、景色は抜群に綺麗なのでそこは良い点ですね。

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この日は富士山がばっちり見えたのでこれ以上の文句は言わないでおきたいと思います。もはや作業のように自転車を漕いでいましたが、ちょっとした心配は的中してしまいました。

この日も宿が取れないのです。

沼津周辺のホテルは全く空きがありません。GWの真っただ中なのでしょうがないですが、今日は寝たいという気持ちがかなり強いためなんとかして寝れる場所を探してみました。

しかし、個室はどこも空きがないのは変わらずで、結局は今日もスーパー銭湯で夜を明かすしかないようです。

万葉の湯という24時間営業のスーパー銭湯に到着したのは18時くらいでした。

考えることは皆同じで、仮眠室はオープンと同時に埋まってしまい、早々に浴室で過ごすことを決意したのでした。

夜中の3時を過ぎると深夜料金が発生するとのことなので、3時に出発することにしてそれまでの9時間を温泉に入ったり、サウナに入ったり、ベンチで過ごしたりしました。

流石に9時間は長すぎます。

その間に、満足に寝られるわけもなく、ほぼ2徹の状態で最終日を迎えました。

五日目

もう家に帰りたくて帰りたくてしょうがない状態にまで至っていました。

しかし、行く先を遮るのが箱根の山と関東平野です。

覚悟を決めて箱根の山登りです。

しんどい。ひたすらにしんどいです。

アキレス腱が悲鳴を上げているのが分かりましたが、最終日なので痛む体に鞭打って山を登りました。

なんだかんだで、3時間もかかってしまうという事態です。

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それでも芦ノ湖までくればあとは山下りだなと気持ちを切り替えてみました。

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疲れていても綺麗な景色は目を奪われますね。

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5、6回は来てる感じがしますが、箱根駅伝のゴール地点で記念撮影です。

ここからは箱根の山下りと言われる区間なので、楽だろうと思ってましたがとんでもなかったです。

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この国道1号線の最高地点まででお腹いっぱいという感じの登り区間ですね。

駅伝を走る選手は本当に凄いです。真似できないですね。

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3時間かけて登っても下るのは一瞬です。あっと言う間に函嶺洞門を通過して小田原市内に入ってきました。ここからは東北の方角に斜めに北上していけば念願の武蔵野です。

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一心不乱にペダルをこぎ続けた結果、なんとか15時には武蔵境駅の返却場所にレンタサイクルを無事に返却することができました。

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この自転車でよく走ったものです。

今度はもっと早い自転車かエンジン付きの乗り物で回りたいと切実に感じました。

旅の結果

今回の5日間の旅の結果は以下の通りです。

 

こうやって見ると走ったなと実感できます。キョリ測というサイトで大まかにルートをなぞった結果、距離と消費カロリーも出てきましたが、見たことない数字になってました。

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体感的にはレンタサイクルという点、数々の峠越えを行った点から消費カロリーはもう少し多かったのではないかと感じます。

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走行距離:約700km
消費カロリー:約23,000kcal
摂取カロリー:約18,000kcal
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宿泊費:約10,000円
食事代:約7,000円
その他:約3,000円
レンタサイクル:2,500円
合計:約22,500円

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金額も当初の予定よりも多くかかってしまい、レンタサイクルで行った意味があったのか?レンタルスクーターかレンタカーでも同じくらいの値段になったのではないかという疑問が残る結果になったのでした。

まあ、でもやってみないと分からないですからね。

今回は良い経験だったということにしておきます。

鬼でした。